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●薬の相互作用

Q1 薬の相互作用って何?なぜ起こるの?
Q2 薬の相互作用を防ぐには?
Q3 タバコを吸うと薬が効かなくなる?
Q4 貧血で鉄剤を飲んでいる。お茶を一緒に飲むと効かなくなると注意された。食後にお茶が飲みたいがダメ?
Q5 お酒と薬の関係は?
Q6 牛乳と薬の関係は?
Q7 グレープフルーツジュースで血圧の薬が効きすぎる?
Q8 ワーファリンと納豆の関係は?
Q9 抗生物質は制酸剤と飲んではいけないの?



Q1 薬の相互作用って何?なぜ起こるの?
A1 薬の相互作用(薬物相互作用:drug interaction)は、薬と薬の飲み合わせのことで、薬が効きすぎて副作用が出やすくなったり、逆に薬が効かなくなったりすることです。また、薬と薬だけでなく、薬と食べ物や飲み物、嗜好品などでも、薬の作用が強くなったり弱くなったりすることもあります。
広い意味では、薬力学的薬物相互作用(pharmacodynamic drug interaction)と薬動力学的薬物相互作用(pharmacokinetic drug interaction)に分かれます。ただ、通常相互作用というと、後者をさすことが多いようです。
薬力学的薬物相互作用とは、例えば、同じような作用がある薬を2種類飲めば薬の効き目が出過ぎたり、副作用が出やすくなります。逆に作用が反対の薬を一緒に飲めば薬の効果が弱まります。
薬動力学的薬物相互作用は、薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)を知る必要があります。飲み薬は、主に小腸で吸収され、血流に乗って体のいろいろなところに行きわたり(分布)、主に肝臓で体から薬を捨てて行くために薬の形を変え(代謝)、主に腎臓から薬が排泄されます。このように、飲んだ薬は、吸収、分布、代謝、排泄の4つの過程を経て、体からなくなっていきますが、相互作用は、この4つの過程の中で起こります。
吸収過程の相互作用は、例えばテトラサイクリン系の抗生物質(例:ミノマイシン)と制酸剤などで金属イオンが多く含まれているもの(例:マーロックスやアルサルミン)を一緒に飲むと吸収されにくいキレートという物質になってしまい、ミノマイシンが吸収されなくなり、効果が落ちます。この場合は、ミノマイシンを先に飲んで2時間ほどあけてマーロックスやアルサルミンを飲めば防ぐことができます。
代謝過程では、薬を代謝する酵素が絡むもので、薬により、薬物代謝酵素を出しやすくするものと、逆に出しにくくするものがあります。出しやすくするものは相手の薬を速く代謝するので、相手の薬の効き目が落ちます。出しにくくするものは、相手の薬の代謝が遅れるので、薬が長く体に残り、相手の薬の効き目が強くなります。薬の相互作用のうち、一番起こる頻度が多いものは、この代謝過程による薬物代謝酵素による相互作用です。一般に代謝、分布、排泄の過程の相互作用の場合は、吸収過程の相互作用と違い、薬を飲むのに時間をあけても防ぐことはできません。
分布過程の相互作用は、薬物の血漿蛋白との結合率によって起こります。頻度としては少ないものですが重要なものもあります。薬は吸収されて、血液中に入ります。血液中に入ると、薬の一部は血液中の蛋白(主にアルブミンという蛋白)と結合します。つまり薬は血液中で、アルブミンと結合している薬(結合型)と結合していないフリーの薬(遊離型)があることになりますが、薬としての効果を現すのは遊離型の薬です。アルブミンとどれくらいの割合で薬が結合するかは、薬によって全然違います。例えば抗凝血剤のワーファリンは、薬の量を微妙にコントロールする必要がある薬ですが、遊離型のものはほんの数パーセントで、ほとんどアルブミンと結合しています。ワーファリンと一緒にアルブミンと結合しやすい他の薬が血中に入ってくると、ワーファリンと他の薬とでアルブミンの取り合いをして、ワーファリンが追い出されて遊離型になり、ワーファリンの効き目が強く出て、出血など副作用を起こすことがあります。
排泄の過程での相互作用は、頻度としては他のものよりかなり少ないです。例として、糖尿病薬のクロルプロパミドが鎮痛消炎剤のフェニルブタゾンで尿中排泄を阻害され、低血糖になったり、ペニシリン系やセファロスポリン系の抗生物質が痛風治療薬のプロベネシドにより尿中排泄が阻害されたりすることがあります。

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Q2 薬の相互作用を防ぐには?
A2 2カ所以上の病院の医師から薬が処方される場合に、全く同じ薬がだぶって出れば患者さんもわかると思います。でも医療用医薬品で内服薬だけでも1万品以上ありますので、同じ効果で名前の違う薬がだぶって出ても、見た目だけではとてもわかりません。また、全く同じ成分、含量の薬なのに、たくさんの製薬会社が別の商品名で売っている薬もたくさんあります。当然見た目のデザインは違ったものになります。ですから、もらった薬を見た目で判断することはできないし、無意味なことにもなります。また、相互作用は、全く予想もつかない薬どうしの組み合わせで起こることも多いので、やや専門的な知識が必要になります。
2人以上の医師にかかるときは、一方で出ている薬を他の医師に見せるなり、薬の名前や効能などが書かれた用紙をもらっていればそれを見せるなりしていただくと良いと思います。ともかく、心配だなと思ったら、医師や薬剤師に、一緒に飲んでも大丈夫か聞いて下さい。
それから、相互作用では様々な程度のものがありますが、絶対に一緒に服用してはいけないケース(禁忌)と、注意をした上で一緒に飲む(一緒に飲まざるを得ない)場合とがあります。相互作用により、薬の作用が出過ぎるか、弱まることがあるかもしれない、という可能性があっても、承知の上で、処方される場合もあります。

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Q3 タバコを吸うと薬が効かなくなる?
A3 薬が体に入ると、肝臓で代謝(薬の形を少し変えて、腎臓から排泄されるようにすること)されて、体からなくなっていきます。肝臓で代謝するときの一番の働き者が、薬物代謝酵素です。薬物代謝酵素はチトクロームP450という変わった名前です。この酵素は、薬を代謝するための蛋白質ですが、この酵素を出しやすくする薬(または物質)と、この逆にこの酵素を出しにくくする薬(または物質)があります。薬の相互作用とは、薬と薬(または物質)の飲み合わせで薬が効かなくなったり、効きすぎたりすることが起こることですが、相互作用が起こる一番多い原因は、この酵素を増やしたり減らしたりするためなのです。
タバコを吸っていると、喘息の薬(気管支拡張剤)のテオフィリンなどでは、薬を多く飲まないと効かなくなります。喫煙は薬物代謝酵素をたくさん出す物質なのです。そのため薬が体から速く排泄されるようになり、薬が効かなくなります。逆に、同じ量の薬を飲んだままの状態で、突然禁煙すると、本当ならそんなにたくさんの薬がいらない状態なのに、多い薬を飲んだままになるので、テオフィリンの中毒症状が現れることがあります。もしテオフィリンを飲んでいてタバコを吸っていてる方が(これ自体好ましくない事ですが)、禁煙したりタバコの量を減らしたら、必ず医師にそのことはお話下さい。せっかくタバコを止めたり減らしたのに、中毒症状が出たら残念ですし、また薬の量が減らせるかもしれません。

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Q4 貧血で鉄剤を飲んでいる。お茶を一緒に飲むと効かなくなると注意された。食後にお茶が飲みたいがダメ?
A4 お茶を飲んでも全く問題ありません。一般向けの薬に関する図書などで、鉄剤に関しての注意事項を見ると、いまだにお茶を飲まないこと、という注意も見かけます。でも、最近では、鉄剤を飲んだすぐ後でも、お茶を飲んでも問題ありません、という見解になっているようです。鉄剤は、理論的にはタンニン酸を含む飲料とでキレートという物質を作り、吸収が抑制されるといわれていますが、緑茶で服用した実験データを見ると、全く影響を受けていません。ですから、お茶好きの方は、全く我慢する必要はないといえます。ただ、鉄剤は他の薬との相互作用では、主にくすりが吸収されるときに起こる相互作用が多く、一緒に飲むと吸収が悪くなる薬(例えば、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生物質、甲状腺ホルモン剤のチラージンSなどが効かなくなる、下痢止めのタンニン酸アルブミンとで鉄の吸収が悪くなる)があります。
薬は原則として、水やぬるま湯で、とうたっていることが多いですが、薬をお茶で飲んでも特に問題はないと考えています。

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Q5 お酒と薬の関係は?
A5 お酒は血液の循環を良くするため、薬の作用が強く現われるとされています。また、中枢神経を抑制する作用もあるので、同じ作用を持つ薬、特に催眠剤や精神安定剤では危険なこともあります。ただ、薬を飲んでいるからお酒は全て禁止、とすると、無理な方もいるでしょうし、人生がつまらなくなってしまう方もいるでしょう。飲んでいる薬や病気の状態にもよりますので、医師に良く相談をしてみましょう。
先に述べたように、中枢神経を抑制する作用がある薬は、お酒と一緒に飲む場合に、薬とお酒のお互いの中枢神経抑制作用が強まり、注意が必要です。また、お酒により薬の作用が強まる薬も危険です。主な例として、睡眠薬、精神安定剤、抗うつ剤、精神分裂病治療剤、抗うつ剤、鎮痛剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、血糖降下剤などは相互作用の危険性があります。

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Q6 牛乳と薬の関係は?
A6 抗生物質のうち、テトラサイクリン系とニューキノロン系のものは、牛乳中のカルシウムとで、吸収が阻害されることが知られています。ただ、薬によりあまり影響がないものもあるので、必ずしも併用禁止とは限りません。少なくても薬を飲んだ後2時間あければ影響ありません。また、骨粗鬆症の薬のダイドロネルは(カルシウムだけではありませんが)、食物、特に牛乳や乳製品のような高カルシウム食や、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウムのような金属を多く含むミネラル入りビタミン剤又は制酸剤等は投与前後2時間以内は摂取及び服用を避けるように注意が必要です。(ダイドロネルはカルシウム等と錯体を作ること、また動物実験で非絶食投与により、吸収が著しく低下することが確認されています)
また、制酸剤の中には、ミルク−アルカリシンドロームmilk-alkali syndromeといい、大量の牛乳と一緒に飲むと高カルシウム血症が起こり、血中の尿素・窒素が多くなって吐き気や食欲不振などを起こすことがあります。
以上のように、牛乳と組み合わせが悪い薬剤もありますが、逆に、消炎鎮痛剤など、胃を荒らしやすい薬を飲む場合に、胃を守るために、牛乳などで服用することがすすめられる場合もあります。

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Q7 グレープフルーツジュースで血圧の薬が効きすぎる?
A7 グレープフルーツジュースを一緒に飲むと血圧の薬の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがあります。グレープフルーツジュースとの相互作用がいわれているのは、ジヒドロピリジン系のCa(カルシウム)拮抗剤です。他に、免疫抑制剤のシクロスポリン(サンディミュン)やタクロリムス水和物(プログラフ)、アレルギー性疾患治療剤のテルフェナジン(トリルダン)なども血中濃度が上昇することがあります。
血圧降下剤にはたくさんのグループがあり、グループごとに特徴や性質がありますが、グレープフルーツジュースとの相互作用が現在のところ報告されているのは、ジヒドロピリジン系のCa拮抗剤です。グレープフルーツジュースとの服用で、ジヒドロピリジン系のCa拮抗剤の血中濃度は、あまり影響がない薬もありますが、ニソルジピン(バイミカード)では、5倍以上も上昇しており、グレープフルーツジュースとの服用は避けておいた方が安心のようです。また、グレープフルーツジュースとの服用、といういわれ方をしますが、文献報告中の実験がみなジュースにより行われているためで、グレープフルーツについてもグレープフルーツジュースと同様に相互作用を考えるべきでしょう。もしグレープフルーツジュースを飲んだりグレープフルーツを食べたりする機会がある方で、心配な方は、薬剤師に相談をして下さい。
なぜ相互作用が起こるかの詳細は不明なところもありますが、グレープフルーツ中の成分がジヒドロピリジン系のCa拮抗剤の肝臓での薬物代謝酵素であるチトクロームP450(詳しくいうとチトクロームP450のうちCYP3A4という酵素)を阻害することが考えられています。

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Q8 ワーファリンと納豆の関係は?
A8 ワーファリンを飲んでいる場合、影響があると考えられている食べ物に、納豆、緑色野菜、果物があります。特に注意が必要なのは納豆です。
ワーファリンは、ビタミンKの拮抗物質です。ビタミンKは出血の時、血を止めるのに必要なビタミンです。ワーファリンはビタミンKに拮抗して血液を固まりにくくする薬です。ですから、ビタミンKを一緒にとると、ワーファリンの効果が減弱します。納豆は、ビタミンKの含有量より、ビタミンKを産生する納豆菌が含まれているため、納豆が食生活上必須なものでないので、通常ワーファリンを飲んでいる方は避けていただいています。一方、緑色野菜や果物では、ほーれん草、キャベツ、ハナヤサイがビタミンKの含有量が多く、その他、パセリ、ハッサク、トマトジュースを大量にとって、トロンボテストの値(ワーファリンの量を決めるため、血液の固まり易さをみる血液検査の値)が上昇した例がありますが、緑色野菜や果物は食生活上必要なものなので、一時的な大量接種をしないようにして、1日の摂取量をコンスタントな量にして下さい。
ワーファリンは非常に慎重に投与量を決めている薬剤でありながら、他の薬との相互作用も非常に多い薬です。別の疾患で他の医師にかかる場合には、必ずワーファリンを飲んでいることを話して下さい。街の薬局で薬を買うときも、ワーファリンを処方している医師に前もって確認の上、薬を飲むようにして下さい。特に、新たに薬を追加して飲む場合には、血液の凝固能(血液の固まり易さ)が変わる可能性があります。

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Q9 抗生物質は制酸剤と飲んではいけないの?
A9 テトラサイクリン系とニューキノロン系の抗生物質と、制酸剤のうち金属を含むもの(制酸剤でなくても金属を含むもの、例えば鉄剤なども)を一緒に飲むと、抗生物質の吸収が阻害されて、薬によってはかなり効き目が落ちるもの(半分程度になるものや、ほとんど全く吸収されない組み合わせもあります)があります。
この相互作用は薬の吸収過程での相互作用で、抗生物質と金属が結合して、キレートという吸収されにくい物質ができてしまうため起こります。吸収過程での相互作用は、時間をあけて飲むと防ぐことができます。これを防ぐには、抗生物質を先に飲み、2時間(薬によっては1時間でも良いものもあります)あけて制酸剤などを服用すると、効果が落ちるのを防ぐことができます。制酸剤などが先だと、4時間あけなくては吸収が阻害されるものもあります。これらの組み合わせで薬が出る場合には、薬の飲み方を説明されたり、飲み方を書かれた文書などが渡されることがあるのでそれを参考にして下さい。
抗生物質は、その中にもいくつかグループがあり、グループ(系)ごとにある程度共通の特徴や性質があります。良く使われているものに、セフェム系、ペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系などがありますが、制酸剤との相互作用は、テトラサイクリン系と、ニューキノロン系の抗生物質です。制酸剤もたくさんの種類がありますが、そのうちこの相互作用があるものは、薬の中に金属(アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなど)が含まれているものです。金属を含まないものは関係ありません。

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